電子楽器を中心に世界的なブランド力を持つ「ローランド(7944)」は、安定配当と事業の将来性を兼ね備えた注目の日本株です。
本記事では、ローランドを長期保有銘柄として選定した理由や、配当の安定性、グローバル展開による成長可能性、そして電子楽器市場の懸念点について詳しく紹介します。
さらに、今後の保有方針と投資家目線での結論まで、実際に保有している視点から丁寧に解説します。
選定理由:ブランド力とグローバル需要

ローランドを選定した最大の理由は、確かなブランド力とグローバル展開による収益基盤の安定性です。
同社は電子ピアノや電子ドラムなどの電子楽器を専門とする日本企業で、その製品は世界中の音楽愛好家やプロのミュージシャンから高い評価を受けています。
特に欧米市場での評価が高く、売上の約7割を海外が占めている点も、国内景気に左右されにくいという意味で長期投資に適していると感じました。
また、競合他社と比べても“音の良さ”や“使いやすさ”といったユーザー視点での完成度が高く、製品へのファンも多い印象です。
こうした「コモディティ化されにくい領域」で勝負していることも安心材料の一つ。
さらに、財務面でも安定しており、有利子負債が少なく自己資本比率も高い点から、今後の配当や設備投資にも余力を残していると判断しました。
配当:実績からくる安定水準
ローランドは、いわゆる“高配当株”という位置づけではありません。
2025年6月時点では配当利回りが5%越えしていますが、これは2025年4月に株価が大きく下落した結果だと言えます。
長期投資を前提とした場合、着実で好感の持てる配当方針を採っている企業です。
株価の上下が大きい銘柄なので配当利回りは判断が難しいですが、配当性向は40%以上を数年維持。
無理のない範囲で、利益成長に応じて増配していく姿勢が見られます。
特に注目したいのは、2020年に再上場以降、毎年しっかりと配当を出している点です。
新型コロナで世界的に不安定な経済状況の中でも、配当の維持・増配ができるのは、事業の収益性とキャッシュフローが健全である証拠です。
株主還元にも前向きであり、IR資料でも継続的な還元方針が明記されている点から、信頼性のある配当銘柄といえるでしょう。
事業

将来性:音楽人口の拡大とデジタル需要の追い風
ローランドの事業の将来性は、グローバルにおける音楽人口の拡大と、デジタル楽器の需要増加によって支えられています。
コロナパンデミック以降の巣ごもり需要や、高齢者が退職後の趣味を背景に、楽器を始めた初心者層が一定数定着したと言われています。
特に電子ピアノや電子ドラムなど、自宅でも演奏可能な機器の市場は成長傾向にあります。
さらに、教育分野でも電子楽器の導入が進んでおり、特に北米・欧州の学校では、音楽教育の一環として電子楽器を用いたカリキュラムが取り入れられるケースも増えています。
これにより、業界的には今後も安定した需要が期待できます。
加えて、ローランドはDTM(デスクトップミュージック)や音楽制作機材分野にも注力しており、プロユースからYouTuber・クリエイター層まで幅広いユーザーを獲得しています。
これらの市場は成長スピードが速く、音楽とITの融合が進む中で、新たな収益源となる可能性を秘めています。
懸念点:ニッチ市場ゆえのボラティリティ
ローランドの最大の懸念点は、事業領域がニッチであるがゆえに、市場の変動リスクが高いことです。
電子楽器という分野は、一定の需要があるものの、景気後退時には「娯楽・趣味」の支出として真っ先に削られる可能性があります。
実際、リーマンショックから業績が低迷し、上場廃止した経験もあります。
また、製品開発サイクルが比較的短いため、常に新製品を市場に投入し続ける必要があり、開発コストの継続的な圧力が収益性に影響するリスクも存在します。
さらに、競合は日本でもヤマハ(7951)という巨大企業が存在し、海外でも大手楽器メーカーはいくつもあります。
ブランド・規模ともに劣るローランドは、価格競争を避けつつ差別化戦略を維持する必要があります。
このバランスを崩すと、収益性が下がる可能性がある点は注意が必要です。
今後の保有方針:成長と配当を注視

ローランドは、私のポートフォリオにおいて「安定配当と中長期の成長をバランスよく狙える中核銘柄」として位置づけています。
現時点では100株のみを保有していますが、買い増しは今後の成長と配当次第です。
安定的な配当があることで、株価が一時的に下がったとしても精神的に安定して保有を継続しやすい点はメリットです。
短期的な値動きではなく、「10年持って報われる銘柄か?」という視点で考えると、ローランドは十分にその対象に入ると判断しています。
結論
ローランド(7944)は、派手さはないものの、独自の強みを持った堅実な高配当・成長ハイブリッド銘柄です。
世界的なブランド認知、海外需要、収益性の高さ、そして株主還元姿勢の明確さから、長期保有した結果“安心して持てる企業”に変わる可能性があると感じています。
もちろん、景気や市場の変動にはある程度敏感な側面もありますが、ニッチ市場での高い専門性と技術力は簡単には真似できるものではありません。
「長く持てる日本株」を探している方には、ローランドは有力な選択肢になるでしょう。
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